選別について

良い系統の維持のための大切な作業の一つが選別飼育です。
良い遺伝子だけを残し、それを掛け合わせて系統を作っていくのですが、同系統だけの累代繁殖をすると、きれいな個体が出る反面、血が濃くなり過ぎて近親障害が起きます。

と、ここまで書いて誠に恐縮ですが、当方、ショーベタでの近親障害は経験していますが、ブルーラムズホーンでの近親障害は経験しておりません。
複数の系統を飼育し、適度に交配させている事、自家繁殖物以外にも、国内外からきれいだと思う個体を入れ、交配に使っているので起きないのか、魚に比べて近親障害が起きにくいのかは不明です。

話しを選別に戻しますが、ラムズホーンは比較的早い時期から産卵を行います。
しかも、雌雄同体なので、2匹いれば産卵を開始します。
よって、選別を行うなら産卵可能になる前に行わなければなりません。
当家では、3mmの段階で選別を開始します。

ここで、ラムズホーン飼育経験者の方でしたらお判りでしょうが、このサイズのラムズホーンの殻はとても弱く、ちょっと力をかけただけで潰れてしまいます。
慎重に、丁寧に、時間をかけてコツコツ選別を行います。

2mmになる頃、選別台の上にそっと並べ、マイクロスコープで覗きながら殻の色合い、ツヤ、質感、そして体色が近い物をグルーピングしていきます。
水槽一個に付き数千匹単位で稚貝がおり、それが現在11水槽。
物凄く地味で気の遠くなる作業ですが、ここで手を抜くと、きれいな系統の維持は不可能です。

こうして、選別されたグループ毎に稚貝飼育ケースに入れ、3mmになるまで観察します。
そして約3mmで本選別。

本選別で基準以上の個体は、それぞれの生まれた水槽、もしくは交配先の水槽へ移します。

ここで、やってはいけないこととして、ラムズホーンは条件が揃えば爆発的に繁殖します。
なので、飼いきれないで困る場合もあるでしょう。
だからといって、むやみに排水溝や川に捨ててはいけません。
条件さえ整えば屋外でも繁殖を続けられます。
これは帰化してしまう可能性があることを示しています。
なので、飼育するなら選別漏れでも河川に流さないようにしなければいけません。

河川に流すぐらいだったら、可愛そうですが、その場で潰してしまうようにしてください。
良質の個体が増えすぎた場合はオークション出品して、愛好者の輪を広げるのが良いと思います。
きれいな系統の方には、当方も入札させていただきます。

またまた話しは脱線しましたが、良い個体の基準というのは、極めて主観的な物だと思います。
好みの色目もあるでしょうし、サイズを優先する方もいるでしょう。

当方では、殻の色、ツヤを中心に選んでいます。

殻の色はハッキリした青が中心で、現在10系統飼育しています。
それとは別に、淡い青の系統を作る為に選別水槽を立ち上げています。

ハッキリとした青については複数の系統ができていますが、淡い青の方は、淡い色に成長するのですが、完全に思い描いているイメージ通りの色の個体が全てではなく、ハッキリとした系統にはなっていません。
イメージとしては、昔のブリキオモチャによく使われていたベイビーブルー。
クレヨンの水色。

優しく淡く、でも、白く濁った青ではなく、奥行きのある色目の個体を目指しています。
そのために、時間をかけて選別を楽しもうと思います。

色目以外に重視しているのは、殻の質について。
表面が白く濁らず、エナメルのような透明感を残した深みのある殻で、殻の巻き方にいびつさが無く、ごく自然な孤を描いて成長した物を良個体だと思っております。


私は、時々県内のショップやオークション経由で綺麗そうな個体を購入したり、海外にいる身内や知り合いに送ってもらったりします。
送られてきたラムズホーンは、その系統だけで飼育し、次の世代の状態を見て再度選別し、現在飼育中の系統と交配させるか判断します。
いきなり交配させないのは、購入したブルーラムズホーンが、純粋にブルーラムズホーン同志の交配ではなく、レッドやワイルドとの交配でたまたまブルーになった物、もしくはあまり良い系統ではない中で、偶然出来たきれいな個体だった場合、それを現在飼育している系統と交配してしまうと、悪い影響が出てしまうからです。
また、既に交尾を済ませ、卵を産む体勢にある場合もあります。
この場合、本来の系統外の卵が水槽内に入ってしまい、選別が困難になるからです。

非常に地味で何世代にも渡る面倒な作業です。
しかし、これだけが、良い系統、良い個体を作る唯一の方法です。

これから、ブルーラムズホーンの繁殖を行い、良い個体を産出しようとしている方、ここで頑張れば必ず報われます。
コツコツじっくり頑張って、焦らず気長に系統作りを楽しみましょう。

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